日本赤十字社 武蔵野赤十字病院

小児科小児科

診療科の紹介

私たち武蔵野赤十字病院小児科は、「子どもの総合医」として、病気を持つ子どもたちに安全で安心できる医療を届けるとともに、心身の健やかな成長を温かく見守り支えていきたいと願っています。
診療では、お子さまだけでなくご家族の気持ちにも寄り添いながら、一人ひとりの声を大切にしています。病状や治療についてはできるだけわかりやすい言葉で説明し、ご理解とご納得をいただいたうえで、ご家族とともに安心できる医療を進めてまいります。
当科では、アレルギー・神経・腎臓・循環器・内分泌など幅広い専門領域に対応しており、特に食物アレルギーの診療に力を注いでいます。また、臨床心理士による発達検査を行い、心の発達や成長の側面からもお子さまをサポートしています。
さらに、院内には50年以上の歴史を持つ「いとすぎ学級」(小学校・中学校の特別支援学級)が設けられています。専任の教員が病状や個性に応じたきめ細やかな指導を行っており、小・中学生は短期入院であっても学習を続けることができます。
私たち小児科スタッフは、病気の治療にとどまらず、お子さまの未来とご家族の安心を共に育む存在でありたいと考えています。どうぞ安心して私たちにご相談ください。

認定施設

  • 日本小児科学会小児科専門医研修施設

 

初診の方は、おかかりの医療機関の紹介状と受診日の事前予約が必要となります。

スタッフ紹介

常勤医師数

10名

部長:細川 奨 (ほそかわ すすむ)

専門領域

  • 小児科(循環器)

資格等

  • 臨床研修医指導者講習会修了
  • 日本小児科学会小児科専門医
  • 日本小児循環器学会小児循環器専門医

部長:岡田 麻理 (おかだ まり)

専門領域

  • 小児腎

資格等

  • 日本小児科学会専門医・指導医
  • 日本腎臓学会専門医

医師:中川 竜一 (なかがわ りゅういち)

専門領域

  • 小児内分泌

資格等

  • 日本糖尿病学会専門医
  • 日本小児科学会小児科専門医
  • 日本内分泌学会内分泌代謝科 (小児科) 専門医
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了

医師:天野 沙織 (あまの さおり)

専門領域

  • 小児科(小児アレルギー)

資格等

  • 日本小児科学会小児科専門医
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了

医師:平田 航 (ひらた こう)

専門領域

  • 小児科(小児神経)

資格等

  • 日本専門医機構認定小児科専門医
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了

医師:山﨑 勇大 (やまざき ゆうた)

専門領域

  • 小児アレルギー

資格

  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了

医師:富岡 翠 (とみおか もえぎ)

専門領域

  • 小児神経

医師:松岡 高弘 (まつおか たかひろ)

専門領域

  • 小児一般

医師:日原 勇貴 (ひはら ゆうき)

医師:清水 果歩 (しみず かほ)

可能な検査・治療・器械について

アレルギー

気管支喘息、食物アレルギー、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、動物アレルギーなどの小児アレルギー疾患の診療、気管支喘息の呼吸機能検査、食物アレルギーの食物経口負荷試験 (基本的に日帰り入院) を行います。

神経

てんかんや熱性けいれん、発達の遅れや自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)などの発達障害を中心に、さまざまな症状に対応しています。必要に応じて、臨床心理士、リハビリテーション科、脳神経外科と連携し、総合的な支援と治療を行っています。

腎臓

ネフローゼ症候群、腎炎、腎不全、尿路感染症などの腎疾患に加え、学校検尿で見つかる無症候性の蛋白尿や血尿の診療を行っています。診断には、腹部エコーやVCG(排尿時膀胱造影)、核医学検査などの画像検査を活用しており、必要に応じて腎生検も行っています。

循環器

先天性・後天性心疾患、不整脈、川崎病のほか、学校検診等で指摘された心電図異常や心雑音の精密検査を行っています。心臓超音波や各種心電図検査(運動負荷・24時間ホルター心電図など)により診断と治療を行っています。

内分泌

低身長、糖尿病、肥満症、甲状腺疾患、思春期早発症など、さまざまな内分泌疾患に対する専門的な診療を行っています。必要に応じて内分泌負荷試験などの検査も実施しています。

初めて小児科内分泌外来を受診される方は、下記のリンクより問診票をダウンロード・印刷のうえ、あらかじめご記入いただき、受診当日にご持参くださいますようお願いいたします。

問診票のダウンロードはこちら

血液

悪性腫瘍を含む血液疾患および免疫不全症の診療を行っています。骨髄移植は主に東京科学大学病院と連携しています。

感染症

当科では、かぜや感染症の原因をできるだけ早く、正確に調べるためのPCR検査(FilmArrayⓇ)を導入しています。鼻やのど、髄液などの検体から多くのウイルスや細菌・真菌を一度に調べることができ、原因をしっかり突き止めて適切な診断・治療につなげています。安心して検査・治療を受けていただける体制を整えています。

救急医療

時間外に具合が悪くなったお子さまにも対応できるよう、365日24時間体制で小児科医師が診療しています。発熱などの急な体調不良には、必要に応じて検査や処置を行います。外傷や頭部のけがについては、整形外科や脳神経外科の医師と連携しています。受診の際は、事前に病院へご連絡ください。

乳幼児健診

子どもたちの健やかな発育のために、新生児から就学前まで一貫した保健相談 (健康診断、発育・発達相談) を行っています。小児科医師、看護師、助産師、臨床心理士、栄養士、歯科衛生士などが相談を担当しています。

当日ご持参いただくもの

来院時にはお子様の年齢に応じた問診票と体調チェック票をダウンロードし、印刷、記入してご持参ください。

予約方法

受診するにあたってのお願い

診療についてのご希望や、説明でわかりにくい点などがありましたら、どうぞ遠慮なく医師にお伝えください。
また、他の医療機関で治療を受けていらっしゃる場合は、現在服用中のお薬の情報などをお知らせいただけますと、より適切な診療につながります。

診療実績

2024年4月から2025年3月までの診療実績は以下の通りです。

外来患者延べ数 8,372名
救急外来患者延べ数 4,536名
外来新患患者数 1,132名
入院患者数 877名

主な入院患者さんの疾患は、気管支炎、肺炎、インフルエンザ、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス感染などの呼吸器感染、そのほか腸管感染症、尿路感染症、腸重積、川崎病、気管支喘息発作、痙攣発作などの急性疾患が大多数を占めております。 特に川崎病の入院を地域から多数を受け入れており、2024年度は81例を診断、治療しました。また食物経口負荷試験の検査入院は76例施行しました。
また、各スタッフの専門領域として、アレルギー疾患 (気管支喘息、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎など)、神経疾患 (てんかん、神経変性疾患など) 、腎疾患 (ネフローゼ症候群、急性‧慢性腎炎、尿路奇形など) 、循環器疾患 (先天性心疾患、川崎病冠動脈瘤合併、不整脈など)、内分泌疾患 (糖尿病、低身長など)の診療を行っております。

主要な入院疾患

臨床指標

食物経口負荷試験

食物経口負荷試験 (Oral food challenge, OFC) はアレルギーのある食品あるいはアレルギーが疑われる食品を単回または少量から漸増摂取し、症状の有無を確認する検査です。OFCは食物アレルギーの確定診断の目的で、また診断後除去していた食品が摂取できるにようになったか (耐性の獲得) を確認する目的で実施されます。

鶏卵、牛乳、小麦アレルギーに代表される小児の食物アレルギーは近年増加傾向にあり、3歳までに20%の児に食物アレルギー症状を認めます。食物アレルギーの症状は、蕁麻疹、喘鳴、腹痛・嘔吐、ショックなど多様ですが、皮膚症状以外に呼吸器や消化器などの全身症状を伴う場合をアナフィラキシーといいます。血液検査や皮膚テストで原因食品へのIgE抗体が証明されますが、実際に摂取して症状が出現する場合のみ食物アレルギーと診断されます。治療はその食品を除去する食事指導が中心となります。

食物アレルギーの多くは成長とともに原因食物への耐性が獲得され摂取が可能となります。誘発症状が軽く、ある程度その食品を摂取できる場合 (例えば卵使用の焼き菓子などは食べて問題ないが、卵焼きを食べたら蕁麻疹が出たなど) は、閾値※を超えない量や加工品などで摂取を続けていくと自然に症状が出にくくなってきます。 (※それ以上食べると症状が誘発される食品成分の総量を閾値といいます。)

しかしアナフィラキシーなど重い症状がみられた患者、閾値が低く極少量でも症状が出やすい患者、あるいはアレルギーの家族歴やアトピー性皮膚炎などがあり予め調べたIgE抗体が高値でその食品を食べたことがない患者 (未摂取ハイリスク患者) の場合は、どの程度食べられるようになっているかを確認するために専門病院内で安全に配慮して段階的にOFCを実施することが望まれます。OFCで現在の閾値がわかった場合は、それ以下の量で摂取を続けていくと閾値が上昇し、より短期間で耐性ができることが期待できます。

2016年度には、主に当院に紹介された食物アレルギー患児42名にOFCを日帰り入院にて実施しました。症状誘発時の摂取量 (検査前の閾値) と誘発症状重症度別に分類した各群と未摂取ハイリスク群でのOFCの結果およびその後の摂取状況を表1に示します。OFC陽性率 (摂取により何らかの症状が誘発された率) は、摂取量の閾値が高く誘発症状の軽い群では低く、誘発症状の重い群ほど高い傾向がありました。閾値が低く誘発症状が重い群は、最も高い陽性率を示しました。未摂取ハイリスク群は、当該食品へのIgE抗体が高値のものが多く陽性率も比較的高めでした。過去の重症度に合わせてつなぎ食などを少量から慎重に開始するためOFCでの誘発症状の重症度は、各群の間で有意な差はなく、アナフィラキシーショックなどの重症な有害事例はありませんでした。試験を終了した大部分の患者で自宅にて閾値以下の経口摂取を開始できており、試験後も除去継続が必要であったものは開始量ですでに症状が誘発されたケースであり、閾値が低く誘発症状が重い群と未摂取ハイリスク群でそれぞれ1名のみでした。

当院ではOFCにあたり保護者や本人に方法やリスクに関し十分な説明をして同意を得ており、試験中は誘発症状への準備を整え、注意深いモニタリングと早期の対応に努めています。検査後にも食品の具体的な摂取法やエピネフリン自己注射薬を含めた誘発症状への対処法を指導し、緊急時の救急受入れ体制を整えており、OFCにより決定した閾値に基づいて安全に経口摂取を進めることで多くの患者で早期の耐性獲得を達成しています。

OFCグループ分類 人数 負荷試験陽性者数 (陽性率%) 除去継続者数
閾値 (高) 誘発症状 (軽) 9 1 (11%) 0
閾値 (高) 誘発症状 (重) 6 3 (50%) 0
閾値 (低) 誘発症状 (軽) 5 2 (40%) 0
閾値 (低) 誘発症状 (重) 17 11 (65%) 1
未摂取ハイリスク 5 3 (60%) 1

血液培養採取率・陽性率・汚染率

2012年度 2013年度 2014年度 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
セット数 342 218 298 513 328 344 427 401 199 262 361 814
汚染数 13 3 5 14 10 5 5 2 5 3 12 17
陽性率 (%) 6.4 4.1 4.8 5.5 5.5 2.6 3.3 2.0 3.0 3.1 4.2 3.1
汚染率 (%) 3.8 1.3 1.7 2.8 3.1 1.5 1.2 0.5 2.5 1.1 3.3 2.1
セット数/1000患者・日数 59 50.7 58.4 103.6 68.2 75.7 92.8 87.7 101.9 105.1 126.3 208.8

小児救急における急性疾患の多くは感染症あるいは感染症に関連した病態 (熱性痙攣や急性脳炎・脳症) によっています。そして、感染症医療の第一歩は病原体を正確に検出する作業から始まり、それに基づいた適切な治療方針の選択によりもたらされます。そのため、重症感染症の早期診断を目的とした血液培養は、小児救急医療でも重要な診療行為であり、その適切な適応と手技は救急医療の質に関連するとされます。

適切な医療の基準となる血液培養採取率や陽性率・汚染率の指標として米国微生物学会のガイドライン…CUMITECHのデータ※ が引用されることが多いですが、医療事情のことなる日本でそのまま当てはめられるかどうかにはいくつかの懸念がありますが、客観的指標として参考すべきもののひとつです。また、日本独自のデータもいくつか報告されています※2 。

小児救急医療の質評価の指標として、当科では血液培養採取率・陽性率・汚染率をモニターして医療の質評価の一つの基準としています。

上記に挙げた報告を参照すると、血液培養採取率としては1000patient-days当たり50-100、小児の陽性率としては5-10%、汚染率としては2.0%未満がひとつの指標と考えられます。

※1 CLSI. 2007 Principles and Procedures for Blood Cultures… Approved Guideline. CLSI document M47-A Clinical and Laboratory Standards Institute, 940 West Valley Road, Suite 1400, Wayne, Pennsylvania 19087-1898, USA.

※2 大曲貴夫 他。 日本の病院における血液培養採取状況および陽性率の実態調査 –パイロットスタディ- 2012 日本臨床微生物学雑誌 22 (1) :13-19

初診の方は、おかかりの医療機関の紹介状と受診日の事前予約が必要となります。

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