赤十字の活動
赤十字の活動
「赤十字」とは
民間の団体です。政府の機関ではなく赤十字の国際条約と国内の日本赤十字社法によって「独立」が保障されている民間の国際的な組織です。
活動の目的は
どんな状況下にあっても、人道的な立場で「人間の尊厳」と「生命」を守り、人間の苦痛の軽減と予防のために、世界中で活動しています。
日本赤十字社 現在の9つの事業
国内災害救護
災害などの発生にいち早く対応し、被災地への医療救護班の派遣やこころのケア活動を行います。救援物資の提供などの支援活動は、多くのボランティアが支えています。
国際活動
世界各地の紛争や自然災害などによって苦しむ人々への救助活動をはじめ、途上国における健康増進、災害対策などのために、現地の赤十字と連携した活動を行っています。
赤十字病院
全国で92の病院を運営しています。各地域で中核医療機関として地域医療を支え、救急医療、がん医療、生活習慣病の予防や介護の支援、災害時の医療チーム派遣など、様々な活動を通じて社会に貢献しています。
血液事業
血液を必要とする方は、年間120万人。平成24年度は約525万人の方々の献血をいただきました。その血液は血液センターにおいて高度な検査等を実施し、24時間体制で医療機関にお届けしています。
看護師等の教育
看護大学6校、看護専門大学17校、助産師学校1校を運営し、将来国内外で広く活躍できる看護師等の養成を行い、毎年約1,300人の卒業生を送り出しています。
赤十字ボランティア
赤十字の人道的な活動を身近な社会の中で実践しようとする人々によって結成されたボランティア組織である「赤十字奉仕団」と個人ボランティア、約220万人の方々が赤十字の事業や活動を支えています。
青少年赤十字
幼稚園、保育所、小・中・高等学校など学校教育の現場で「健康・安全」「奉仕」「国際理解・親善」を実践目標として、13,194校、約303万人のメンバーが自分で気づき、考え、実行する力を育み活動しています。
救急法等の普及
心肺蘇生法やAEDの使用方法、高齢者の健康増進や介護技術、子どもの病気の手当や乳幼児の一次救命処置、水の事故・雪上での事故から身を守る方法などの知識や技術の講習会を各地で実施しています。
社会福祉施設
子どもや高齢者、そして障がい者が自立した暮らしができるよう、全国29カ所で児童福祉、老人福祉、障がい者福祉施設等を運営しています。赤十字ボランティアや赤十字病院など連携した活動を進めています。
当院の救護活動
災害は、原因別に自然災害(地震、風水害、自然火災等)と人的災害(ガス爆発、ビル火災、各種交通災害等)、状況別に広域災害(被災者が広域に分散)と局地災害(被災者が小範囲に集中)、また地域別に都市型災害(ライフラインへの影響)と地方型災害(孤立化)とにそれぞれ大別されています。
これらの災害が発生した場合、迅速に対応すべく当院では、常備救護班を編成しています。一個班は、医師2名、看護師長1名、看護師(助産)2名、主事2名の計7名から構成されており、13個班が待機しています。
救護班の活動は、
- 一刻も早い処置が必要な被災者に対して、被災現場において応急処置をすること。
- 被災により機能を失った地元一帯の医療機関に代わり、その医療の空白を埋めること。
- 避難所等への巡回診療を行うことにより、避難者への精神的支えとなること。
を目的としています。
当院の救護班が携わった救護活動は、こちらからご覧になれます。
最近の災害救護、医療救護活動
【令和6年能登半島地震】
1.災害の概要
- 2024年1月1日16:10頃 石川県能登半島にある鳳珠郡穴水町の北東42 kmを震央として発生した最大震度7の地震が発生
2.医療救護班等の派遣状況
第1班【派遣期間:令和6年1月2日(火)~1月6日(土)】 | 医師:2名 看護師:3名 薬剤師:1名 事務:2名 |
日赤災害医療コーディネートチーム【派遣期間:令和6年1月6日(土)~1月10日(水)】 | 医師:1名 看護師:1名 |
第2班【派遣期間:令和6年1月10日(水)~1月14日(日)】 | 医師:2名 看護師:3名 薬剤師:1名 事務:2名 |
日赤災害医療コーディネートチーム【派遣期間:令和6年1月13日(土)~1月18日(木)】 | 医師:1名 看護師:1名 救命救急士:1名 事務:2名(内1名は大森赤十字病院職員) |
第3班【派遣期間:令和6年1月25日(木)~1月29日(月)】 | 医師:2名 看護師:3名 薬剤師:1名 診療放射線技師:1名 事務:1名 |
日赤こころのケアチーム【派遣期間:令和6年1月28日(日)~令和6年2月2日(金)】 | 看護師:2名 事務:1名 |
第4班【派遣期間:令和6年2月3日(土)~令和6年2月7日(水)】 | 医師:2名 看護師:3名 薬剤師:1名 事務:2名 |
日赤災害医療コーディネートチーム【派遣期間:令和6年2月11日(月)~2月17日(土)】 | 医師:1名 看護師:1名 事務:2名(内1名は日本赤十字社東京都支部職員) |
【熊本地震災害における当院の対応】
1.災害の概要
- 14日(木)21時26分マグニチュード(M)6・5(震度7)地震が発生
地震の概要
検知日時(最初に地震を検知した時刻) | 4月14日21時26分 |
発生日時(地震が発生した時刻) | 4月14日21時26分 |
マグニチュード | 6.5(暫定値; 速報値6.4から更新) |
場所および深さ | 熊本県熊本地方、深さ11km(暫定値; 速報値約10kmから更新) |
発震機構 | 南北方向に張力軸を持つ横ずれ断層型(速報) |
震度 | 【最大震度7】熊本県益城町(ましきまち)で震度7、玉名市(たまなし)、西原村(にしはらむら)、宇城市(うきし)、熊本市(くまもとし)で震度6弱を観測したほか、中部地方の一部から九州地方にかけて震度5強~1を観測しました。 |
- 16日(土)1時25分にM7.3の地震(震度7)
2.当院の動き
4月15日 | 0:03 | 震度6強 |
4月16日 | 7:00 | dERUの準備 |
10:10 | 医師、救命救急士、看護師、薬剤師、事務で物品準備開始 | |
11:40 | 医療資機材準備終了 | |
12:20 | 都支部来院。積み込み開始。 | |
16:06 | 都支部出動許可 | |
16:55 | 出発式 | |
17:00 | 出発 | |
4月17日 | 1:21 | 大阪赤十字病院到着 |
9:00 | 東京都支部・日赤医療センター・武蔵野赤十字病院合同ミーティング | |
10:00 | 大阪赤十字病院にて出発報告 日赤医療センター9名、武蔵野赤十字病院11名 | |
4月18日 | 0:00 | 熊本県支部 到着 |
8:00 | 現地ミーティング | |
東京都支部 救護班 2個班の役割 | ||
益城町体育館(避難所)において診療にあたる。 | ||
dERU 3台設置 |
出発式:嘉和知副院長 16日 17時
3.熊本地震に係る救護班・病院支援要員の派遣状況 PDF
【東日本大震災】
平成23年3月11日(金)午後2時46分、宮城県牡鹿半島沖を震源とするM9.0の地震が発生しました。
震源域は岩手県から茨城県沖までの広範囲にわたり、北海道から関東地方にかけて発生した大津波は、太平洋沿岸に壊滅的な被害をもたらしました。
また、地震・津波の被害を受けた東京電力福島第一原子力発電所では、原子炉の冷却機能が失われ大量の放射性物質が放出される重大な事故となり、周辺住民は長期間にわたる避難生活を強いられました。
当院では地震直後から災害対策本部を立ち上げ、情報収集につとめる一方、救護班の召集、派遣準備に取り掛かり、都内に重大な被害がないことが確認できたことから、午後6時15分に第1班が東北地方に向けて出発しました。
その後「医療の空白」を埋めるべく行われた救護活動は、岩手県釜石市を中心に6月中旬まで計15の医療救護班が派遣され、避難所救護所での負傷者救護、巡回診療等の活動を行いました。また当院からは福島県の原発事故の被災者が一時帰宅する際の臨時救護として救護班2班を南相馬市に派遣しました。
東日本大震災 医療救護活動
派遣総数 | 医師29名 看護師48名 薬剤師13名 事務30名 |
現地での活動日程 | 平成23年3月11日(金)~6月13日(月) |
活動場所 | 岩手県陸前高田市、大船渡市、釜石市、大槌町 |
宮城県岩沼市、名取市、石巻市 | |
福島県福島市 | |
活動内容 | 避難所救護所での負傷者救護、巡回診療、病院の診療支援 |
被災病院への診療支援
派遣総数 | 医師6名 看護師16名 薬剤師6名 |
現地での活動日程 | 平成23年3月23日(水)~8月15日(月) |
活動場所 | 宮城県石巻市 |
活動内容 | 院内での診療支援、病院前救護所での負傷者救護 |
原発事故避難者一時帰宅への臨時救護
派遣総数 | 医師2名 看護師4名 事務2名 |
現地での活動日程 | 平成23年6月30日(木)~7月4日(月) |
平成24年2月28日(火)~3月2日(金) | |
活動場所 | 福島県南相馬市 |
活動内容 | 事業実施本部救護所での負傷者救護 |
【新潟県中越沖地震】
平成19年7月16日(月)午前10時13分ごろ、新潟県上中越沖を震源とする震度6強の地震が発生、また、同日午後3時37分ごろ、震度6弱の余震が観測されました。第1回目の震源の深さは約17キロ、マグニチュード6.8、第2回目の震源の深さは約10キロ、マグニチュード5.6と推定された。
当院は、1回目の地震報道により、救護班の召集及び出発の準備を行い同日午前11時45分院内待機、午後12時50分新潟県刈羽郡総合病院に向けて緊急出動し被災地の避難所で医療活動を行ないました。
現地での活動日程 | 平成19年7月16日(月)~7月18日(水) |
活動場所 | 柏崎市 柏崎小学校 |
活動内容 | 医療活動・救急車による患者搬送 |
診察総人数 | 医師3名 看護師長1名 看護師2名 主事2名 |
<新潟県中越地震>
平成16年10月23日(土)17時56分頃、新潟県中越地方を震源とする震度6強の地震が3回観測され、震源の深さは約20キロ、マグネチュード6.8と推定されました。
この報道により、当院の災害救護班は、同23日午後23時30分に新潟県の小千谷総合体育館に向けて緊急出動しました。その後、4回にわたって医療救護活動を行ってきました。
第1班 医師1名、看護師3名、事務2名(計6名) 車両1台
活動日程 | 平成16年10月23日(土)23時30分から |
平成16年10月25日(月)23時57分まで | |
活動場所 | 小千谷市総合体育館、塩谷村、山古志村 |
活動内容 | 10月24日5時15分小千谷市総合体育館に日赤救護所の開設 |
孤立地区(塩谷村、山古志村)へ医療救護、救援輸送等を行いました。 | |
診察総人数 | 153名 |
第2班 医師2名、看護師1名、事務2名(計5名)車両1台
活動日程 | 平成16年10月24日(日)15時45分から |
平成16年10月25日(月)23時57分まで | |
活動場所 | 小千谷市総合体育館 |
活動内容 | 医薬品の補給、第1班の応援活動。小千谷市総合体育館で第1班と大田原赤十字病院救護班で医療活動を行いました。 |
第3班 医師1名、看護師4名、事務2名(計7名)車両1台
活動日程 | 平成16年10月26日(火)16時35分から |
平成16年10月29日(金) 1時26分まで | |
活動場所 | 小千谷市内避難所、和泉小学校体育館前、在宅被災者の訪問診療、五辺集落開発センター、すみれ保育園他 |
活動内容 | 心のケアおよび訪問診療等の医療活動を行いました。 |
第4班 医師2名、看護師4名、事務3名(計9名)車両2台
活動日程 | 平成16年11月 5日(木) 7時00分から |
平成16年11月 7日(土)16時30分まで | |
活動場所 | 十日町市内 |
活動内容 | 2班にわかれ巡回診療活動を行いました。 |
日本赤十字本社並びに日赤東京都支部による救護基礎研修・フォローアップ及び東京都・武蔵野市等主催による救護訓練に参加することにより、救護員としての資質の向上に努めています。
当院の国際活動
国際医療救援について
Message
武蔵野赤十字病院は国際救援活動に積極的に取り組んでいます。私達は日々の医療活動により地域の人々の健康を守り社会に貢献しています。また、東日本大震災など数々の災害において救援救護活動を行ってまいりました。日常的医療活動や国内救援救護活動で培った医療技術や博愛精神を世界でも発揮すべきと考え赤十字の国際救援活動に参加しております。
赤十字社(イスラム教国では赤新月社と呼びます)は世界190か国に組織されており、人道・博愛という共通の理念に基づいた活動をしています。私達は日本赤十字社の一員として各国の赤十字社や国際赤十字組織と連携・協力し国際的業務に参画しております。
(国際赤十字の組織についてはこちら http://www.jrc.or.jp/about/organization/)
これまでは当院の国際救援は意欲ある有志のみによる活動でした。しかし、2012年、丸山洋院長(当時)は就任と同時に、病院を挙げて国際救援活動に取り組むとの方針を打ち出しました。そこで、国際救援経験者が集まり、非公式組織である国際救援クラブを立ち上げ、国際救援派遣者数の増加、職員への国際救援活動への理解向上(職場から国際救援に一人参加すると、その職場は一人欠員となり残された職員の業務負担が増大します。要員が気持ちよく任地へ派遣されるためには病院全体が国際救援の重要性を知る必要があります)を目的に活動を開始しました。
国際救援要員には、国内での業務遂行能力以外に、文化の差異を理解し許容する寛大さ、外国人とのコミュニケーション能力=英会話力、災害時医療、危機管理など様々な知識や技術を身につけなければなりません。そのために、国際救援クラブでは講演会や勉強会の開催、英会話教室(教育研修部共催)、他施設での研修への参加支援、メールマガジンの配信などを行っております。
これらの活動実績が認められ2015年には国際救援クラブは医療社会事業課国際救援係として病院の公的組織になりました。今後はますます国際救援派遣要員を増やし、職員に人道・博愛の精神を喚起し、地域ばかりでなく世界と連携した医療を展開してゆきたいと考えております。
副院長 山崎 隆志
当院の職員が派遣された国際活動は、過去の派遣報告からご覧になれます。