日本赤十字社 武蔵野赤十字病院

新生児内科新生児内科

診療科の紹介

産婦人科、助産院で出生した赤ちゃんがお母さんと入院中、予期しない異変に対して精査・加療を行うことが私たちの主な仕事です。 また、当院で元気に生まれた赤ちゃんが、安定した状態でお母さんと一緒にお家に戻れることを診察して確認をさせて頂いています。 更に、当科から退院した赤ちゃんが、その後もすくすく成長し、順調な発達ができているかを確認させて頂く「1ヶ月健診」と「フォローアップ外来」を行っています。 在胎35週までの早産児、心疾患を有する児、ダウン症児へのRSウイルス感染予防の注射を行う専門外来も流行期に開設しています。

当科は2005年に小児科から独立して開設されました。新生児集中治療室 (新生児のICUをNICUと言います) 6床と、集中治療が終了した児を回復室 (GCU) 12床で引継ぎ、計18床で主に多摩地区の赤ちゃんの治療にあたっています。 産婦人科とともに東京都の地域周産期母子医療センターの指定を受けています。

スタッフは、総合周産期母子センターNICUを経験した新生児専門の医師で主に構成されています。 昨年度から若手の新生児専門を目指す医師も加わりました。医師は24時間院内に常駐し、助けを求める赤ちゃんへの対応をいつでも行えるようにしております。

当科には、年間500~550人、最近ではそれをも超える人数の赤ちゃん達が入院し、家庭へと日々退院しています。そのうちの5~10%が人工呼吸器を必要とする赤ちゃんであり、約5%が出生時の体重が1500gに満たない早産の赤ちゃんです。

 

 

認定施設

  • 日本周産期・新生児医学会 新生児専門医指定研修施設

初診の方は、おかかりの医療機関の紹介状と受診日の事前予約が必要となります。

スタッフ紹介

常勤医師数

6名

部長:中村 利彦 (なかむら としひこ)

専門領域

  • 新生児呼吸循環生理学
  • 新生児感染症学

資格等

  • 日本小児科学会専門医・指導医
  • インフェクションコントロールドクター
  • 東京医科歯科大学臨床教授
  • 医師の臨床研修に係る指導医養成講習会修了

部長:森丘 千夏子 (もりおか ちかこ)

専門領域

  • 新生児、小児領域

資格

  • 日本専門医機構認定小児科専門医
  • 日本小児科学会出生前コンサルト小児科医
  • 日本周産期・新生児医学会周産期専門医(新生児)
  • 日本周産期・新生児医学会新生児蘇生法「専門」コース インストラクター
  • 臨床研修医指導者講習会修了

副部長:大野 秀子 (おおの ひでこ)

専門領域

  • 新生児一般

資格等

  • 日本小児科学会小児科専門医
  • 日本周産期・新生児医学会周産期専門医(新生児)
  • 臨床研修医指導者講習会修了
  • 日本周産期・新生児医学会新生児蘇生法「専門」コース Aコース修了

医師:草苅 倫子 (くさかり みちこ)

資格等

  • 日本小児科学会専門医
  • 日本周産期・新生児医学会新生児蘇生法「専門」コース (Aコース) インストラクター
  • 日本小児科学会「子どもの心」相談医
  • 出生前コンサルト小児科医
  • 医師の臨床研修に係る指導医養成講習会修了

医師:野口 優輔 (のぐち ゆうすけ)

専門領域

  • 小児科・新生児科

資格

  • 日本専門医機構認定小児科専門医

医師:深間 英輔 (ふかま えいすけ)

資格等

  • 日本小児科学会専門医

医師:石橋 佑脩 (いしばし ゆうすけ)

専門領域

  • 小児科

資格

  • 新生児蘇生法講習会受講
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了

受診するにあたってのお願い

新生児内科に入院する赤ちゃんのほとんどが、緊急の対応を要します。 さらに、赤ちゃんの病気は大人の病気にはない名前が多数あったり、「黄疸」、「呼吸障害」など病名が似ていても病態が非なるので構成されていたりします。 そのため、私たち新生児内科医は、入院時にその詳細を保護者の方に説明し、その後も、徐々に回復する状況をその都度、面談の機会を設けて説明しております。 外来受診においては、日々のお子様の生活上、例えば、気になる行動などある場合、動画を撮影して来院時に一緒に見せて頂くことにより的確なアドバイスをさせていただいています。必要なら、さらなる専門分野の機関に紹介して、その時々の児の能力が最大限に発揮できるよう、コーディネートをさせていただいております。

診療実績

新生児内科診療実績 

総入院数 548
院内出生児 540
院外出生児 8
双 胎 16
人工呼吸管理症例 60
1000g≦ <1500g 6
<1000g 4
在胎33週未満の早産児 13
33週未満の脳室周囲白質軟化症 0
脳室内出血 (Ⅱ度以上) 0

2023年1月~2023年12月

臨床指標

  • 総入院数:昨年度は500例を上回りました。人工呼吸管理を必要とした赤ちゃんの数が減少したのは、喜ばしいことです。全ての赤ちゃんが元気で退院できるよう、日々努力しております。

  • 出生体重1500g未満の数:年間約10~20人の小さな赤ちゃんの治療にあたっております。
    未熟児網膜症においては、経験豊富な眼科医が毎週診察、時には緊急レーザー治療を病室で行っていただけます。在宅酸素療法、在宅経管栄養療法を要する場合は、小児科および地域連携部と協力し、安心して家庭での療育ができるようサポート体制を構築します。

  • 人工呼吸管理施行数:NICUでの管理は呼吸循環管理であり、その主たるものは人工呼吸管理です。人工呼吸管理にも「赤ちゃんに優しい呼吸管理」が存在し、それぞれに最適である呼吸法を決定し、それに合致した最新の人工呼吸器を用意して治療にあたります。
    その結果、早産児の長期人工呼吸器装着の児の数が激減しました。

  • 現在、日本の周産期母子医療センターには「総合」と「地域」の2つがあり、当院は「地域」周産期母子医療センターとして認可されています。「総合」と「地域」は施設基準など明確な区別がありますが、医療技術の優劣での区別ではありません。
    私たちは「地域」周産期センターならではとしての特徴のうち、個々の赤ちゃんとその家族に費やす時間を多く作れることを利点として、日々赤ちゃんとの家族に向かい合い、安全にかつ安心して家庭での育児がスタートできるような医療を行っています。四季ごとに卒業生を当院に招いて、みんなの成長と、家族の思いをスタッフで共用し、今後の医療に精進しています(ほっぺたの会:現在コロナ感染予防対策のため休止中)。

  • 日本の周産期医療に貢献することも日々考えています。私たち新しいスタッフになって以降、当科に一定期間研修に来ていただいた医師は、原則学会発表およびその成果を学術誌に投稿、採用して頂けるよう専門医が指導に当たります。「研究、発表」の項目に我々6人の専属医師以外の名前があるのは、それらの医師の活躍を意味します。普段より、臨床検査部門の技師、放射線科およびその技師と共同で臨床研究にあたり、最近では「早産児に特有な類白血病反応のメカニズム」を解明、報告しました。また今年度は、日本新生児医学として海外に誇る新生児感染症診断法である『Acute Phase Reactant Score (APR score)』に関する書籍が英国で刊行されました。海外から基調講演依頼、国際周産期学会のプログラミングの依頼、および海外学術誌の査読依頼などが増えており、当科での研究が少なからず日本をはじめ世界に発信できているものと思われ、さらなる精進を皆で誓った次第です。

  • これまで以上に、近隣の杏林大学病院、都立小児総合医療センターの両総合周産期センターとの連携を図り、周辺の産婦人科医院、助産所からの新生児の依頼にいつでも対応できるよう準備をしてまいります。

過去5年間の実績

年  度 2019 2020 2021 2022 2023
総入院数 430 538 587 645 548
出生体重1500g未満 15 22 24 17 10
人工呼吸管理施行数 48 55 72 80 60

初診の方は、おかかりの医療機関の紹介状と受診日の事前予約が必要となります。

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