脊椎脊髄病センター
武蔵野赤十字病院整形外科ではこれまで北多摩南部医療圏における脊椎脊髄病診療の中心的病院としての役割を果たしてきました。昨今の高齢社会の進行により脊椎脊髄病患者は急増しており増加するニーズ・多様化する患者さんの期待に対して応えていく必要があります。そのため地域や社会への貢献を目的として武蔵野脊椎脊髄病センターを2024年6月に設立しました。
当センターの特長
- 脊椎・脊髄疾患の手術治療を年間約500例実施しています。
- 低侵襲手術・内視鏡手術の積極的な導入により早期の社会復帰を可能とする治療方針です。
- 超高齢者や多数の合併症をお持ちの患者さんに対して、安全・確実な治療方針の選択を重要視しています。内科などのバックアップ体制は万全です。
- 治療成績・合併症をオープンに公開し、目に見える治療・病院を目指しています。
- 地域社会への貢献のため積極的な講演・広報活動を行います。
- かかりつけの先生と二人三脚でアフターフォローまで確実に実施します。そのため手術が終了した患者さんはかかりつけ医に戻っていただいて診療を継続することが基本です。そのため、かかりつけ医との連携を非常に密接に行っています。
スタッフ紹介
センター長:原 慶宏 (はら のぶひろ)
専門領域
- 脊椎・脊髄外科
- 脊椎低侵襲手術
- 脊椎内視鏡手術
資格等
- 日本専門医機構認定整形外科専門医
- 日本整形外科学会脊椎脊髄医
- 日本整形外科学会指導者講習会受講
- 日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医
- 小児運動器疾患指導管理医師セミナー受講
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
副センター長:立花 直寛 (たちばな なおひろ)
専門領域
- 脊椎外科
資格等
- 日本整形外科学会専門医
- 日本脊椎脊髄病学会 脊椎脊髄外科指導医・専門医
- 日本整形外科学会 脊椎脊髄医
- 小児運動器疾患指導管理医師セミナー受講
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
副センター長:游 敬 (ゆう けい)
専門領域
- 整形外科一般
- 脊椎脊髄外科
資格等
- 日本整形外科学会脊椎脊髄病医
- 日本専門医機構認定整形外科専門医
- 日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医
- 日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医養成講習会修了
- 小児運動器疾患指導管理医師セミナー受講
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
センター医師:河原 洋 (かわはら よう)
専門領域
- 脊椎脊髄病
- 整形外科
資格等
- 日本整形外科学会専門医
- 日本整形外科学会 脊椎脊髄医
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
センター医師:小松 直人 (こまつ なおと)
専門領域
- 脊椎・脊髄外科
資格等
- 日本整形外科学会整形外科専門医
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
扱う主な疾患
- 脊椎・脊髄疾患の手術治療を年間約500例実施しています。
- 低侵襲手術・内視鏡手術の積極的な導入により早期の社会復帰を可能とする治療方針です。
- 超高齢者や多数の合併症をお持ちの患者さんに対して、安全・確実な治療方針の選択を重要視しています。内科などのバックアップ体制は万全です。
- 治療成績・合併症をオープンに公開し、目に見える治療・病院を目指しています。
- 地域社会への貢献のため積極的な講演・広報活動を行います。
- かかりつけの先生と二人三脚でアフターフォローまで確実に実施します。そのため手術が終了した患者さんはかかりつけ医に戻っていただいて診療を継続することが基本です。そのため、かかりつけ医との連携を非常に密接に行っています。
扱う主な疾患
頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症性神経根症、後縦靭帯骨化症、黄色靭帯骨化症、リウマチ頚椎、頚椎後弯症(首垂れ)、胸椎椎間板ヘルニア、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎分離症、腰椎すべり症、広範脊柱管狭窄症、成人脊柱変形、骨粗鬆症性椎体骨折、脊椎脊髄腫瘍、転移性脊椎腫瘍、脊椎外傷、脊髄損傷
主な低侵襲脊椎手術の特徴
複数ポータル式灌流型脊椎内視鏡
Unilateral Biportal Endoscopic Spine Surgery: UBE
概要
複数ポータル式灌流型脊椎内視鏡手術(UBE)は、最新の内視鏡技術を用いた最小侵襲手術です。国内では比較的新しい術式であり、本手術は、従来の手術に比べて、身体への負担が少なく、回復が早いことが期待されています。
手術について
皮膚に7-8mm程度の2つの小さな皮膚切開を行い、カメラポータルとワーキングポータルを作成します。UBEでは二つのポータル(カメラポータルとワーキングポータル)を使用するため、手術中の視野がクリアに保たれます。これにより、正確な手術操作が可能となります。従来の代表的な脊椎内視鏡手術であるMED(Micro Endoscopic Discectomy)やMEL(Micro Endoscopic Laminectomy)は2cm程度の皮膚切開を行い単一ポータルを使用するため、視野の確保が難しくなることがあります。
従来の手術より傷が小さい分、手術後の回復が早く、入院期間も短縮できる場合もあります。これにより、患者さんの日常生活への早期復帰が期待できます。
手術について
術後の痛みが少ない:
- 最小侵襲手術であるため、術後の痛みが少なくなることが期待できます。
入院期間の短縮が期待できる:
- 術後の回復が早く早期退院が可能な場合もあります。これにより、患者さんの生活への影響が最小限に抑えられます。
傷跡が小さい:
- 小さな切開で手術を行うため、術後の傷跡が目立ちにくく、美容面でも優れています。
手術侵襲の低減・患者さんの早期社会復帰の点でとても魅力的な手術です。ただし、比較的新しい技術であり、手術の難易度も高いことから全ての脊椎手術において適応になるわけではありません。ご興味のある方はご自身の病態が内視鏡で治療可能かどうかについて担当の医師とご相談ください。
経皮的椎体形成術
Baloon Kyphoplasty: BKP
脊椎椎体骨折とは
骨粗しょう症が基盤にある背骨(脊椎)の脆弱性骨折です。しりもちをつくなど転倒した時や、明らかな外傷のエピソードがなくても(いつの間にか骨折)生じます。胸腰椎移行部といわれる第11、12胸椎や、第1,2腰椎に生じることが多いです。コルセットなどでの安静加療や鎮痛薬内服での対症療法、骨粗しょう症治療(テリパラチドなど)を並行して行う保存加療をまず行うのが一般的です。しかし、保存加療を行っても十分に疼痛などが改善しない場合などにはBKPといった手術加療が必要となる症例があります。
Ballon Kyphoplastyの概要
骨折した椎体内にセメントを充填することで、骨折した椎体の安定化を図り、速やかな除痛を得ることを目的とした手術です。従来から国内海外を問わず幅広く行われている術式で安定した治療成績が報告されています。
手術について
術中透視を用いて、皮膚に5-7mm程度の2つの小さな皮膚切開を行います。左右の椎弓根という部位に孔をあけて、椎体内の骨折部に器具を挿入します。(図①)そこで、バルーンを広げることで、骨折した骨を周囲に押し広げて、空間を作ります。バルーンを拡張することでつぶれた椎体を少しもとに戻す効果も期待できます。(図②)作った空間の中にセメントを注入していきます(図③)セメントを注入することで、不安定だった骨折部が安定化して、疼痛の改善が期待できます。(図④)
手術の創部も非常に小さく、セメントで速やかに安定化が図れるため、早期に除痛効果が得られ、1週間以内の入院期間で退院できることが多いです。
患者さんへのメリット
除痛効果が速やかに得られる:
- 骨折して不安定になっていたところが安定化するため、痛みがとれ、日常生活にすぐに復帰できます。
傷跡が小さい:
- 小さな切開で手術を行い、術後の傷跡が目立ちにくいです。また、傷跡が小さいため出血も少なく、手術侵襲も非常に低いです。
比較的速やかに除痛効果が得られ、低侵襲な良い手術です。しかし、骨折の形態や、骨粗しょう症の程度などで、手術適応となる症例も限られています。BKPにインプラントを用いた固定術の併用や、他の術式の方がより良い適応となる可能性もあります。また隣接椎間障害など、術後合併症が生じる可能性もあります。
担当医とよく相談して、自分にとってベストな治療方法を選択しましょう。