日本赤十字社 武蔵野赤十字病院

がんゲノム医療外来がんゲノム医療外来

当院のがんゲノム医療外来では、「NCC オンコパネル」、「ファウンデーションワン」、「ファウンデーショ ンワン・リキッド」、「ガーダント 360」など、 保険診療で可能ながん遺伝子パネル検査を実施しています。

がんゲノム医療とは

人間の体は、約 37 兆個の細胞からなっています。細胞は、細胞内にある遺伝子の情報をもとに分裂、 増殖を繰り返しています。加齢・喫煙・過度な飲酒などの様々な要因によって遺伝子に病的な変化が起きてしまうと、 細胞は異常な分裂を繰り返すようになり、やがてがん細胞が発生します。したがって、がんは「遺伝子の変化が原因の 1 つとなっている病気」と言えます。
最近になり、この遺伝子の変化(遺伝子変異)を調べることで、効果的な治療薬の選択に役立つことが分かってきました。がん遺伝子パネル検査は、 数百種類のがん化に関わる遺伝子変異を調べることが出来ます。その結果をもとに、最適な治療を提供する試みを「がんゲノム医療」といいます。

注意点

遺伝子変異の状況を調べることで、効果的な治療薬候補が判明する可能性があります。 しかし、がんゲノム医療には、以下のような限界もありますので、がん遺伝子パネル検査を受ける前に、よく考えましょう。

  • 遺伝子変異の状況が判明しても、有効な治療薬が判明しない場合があります。
  • 効果が期待される治療薬が判明したとしても、実際に効果が示されるかは、治療をしてみるまでは分かりません。
  • 候補の治療薬の多くは保険承認されていなかったり、承認前の研究段階の薬剤だったりします。 したがって治療を受けるためには、自費診療で受ける、または治験に参加するなどの方法をとる必要があります
  • 自費診療で治療を受ける場合に、薬剤によっては月に数十万円の高額な治療費を要することがあります。

対象となる方

  • 年齢が18歳以上
  • がんに罹患している(血液のがんは除く)
  • がんに対する一般的な治療(標準治療)の効果が乏しい、標準治療が終了した
  • ご本人の受診が可能である

当院で行っているがん遺伝子パネル検査

現在、がんゲノム医療外来では保険診療で実施可能な以下のがん遺伝子パネル検査を受けることができます。どのパネル検査を選択するかは、がんの種類、患者さんの状態などを考慮して決定します。

NCCオンコパネル

がんに関連した 124 遺伝子を検査します。検査には、「がん組織」および「血液」の検体を使用します。

ファウンデーションワン(FoundationOne CDx)

がんに関連した 324 遺伝子を検査します。検査には、「がん組織」の検体を使用します。

ファウンデーションワン・リキッド(FoundationOne Liquid CDx)

がんに関連した 324 遺伝子を検査します。「がん組織」がない場合や採取できない場合に、「血液」の 検体を用いて検査を行います。

ガーダント360(Guardant360 CDx)

がんに関連した 74 遺伝子を検査します。「がん組織」がない場合や採取できない場合に、「血液」の 検体を用いて検査を行います。

がん遺伝子パネル検査にかかる費用

「NCCオンコパネル」、「ファウンデーションワン」、「ファウンデーションワン・リキッド」、「ガーダント 360」はいずれも保険診療の検査で、検査費用56万円の1~3割(健康保険の自己負担割合)が自己負担分になります。検査実施時と検査結果説明時の2回にわけてお支払い頂きます。また、高額療養費制度を利用すれば、負担はさらに抑えられます。検査費用以外に診察料が別途負担となります。

がんゲノム医療外来の流れ

患者さんが、当院のがんゲノム医療外来の受診予約を直接とることは出来ません。必ず、現在治療を担当している主治医の先生からのFAX予約が必要になります。 また、がん遺伝子パネル検査を実施してから、結果が判明するまで約2ヶ月かかります。

当院受診、検査、結果説明の流れ

① 患者さんから、現在治療を担当している主治医の先生に、当院のがんゲノム医療外来への受診予約を依頼してください。

② 主治医の先生が、FAXにて当院の受診予約をとります。受診日や担当診療科が決まったら、当院から主治医の先生にFAXで連絡します。

③ あらかじめ主治医の先生から受け取った紹介状や資料を持参のうえ、予約日に当院外来を受診してください。ご本人の受診が原則です。 可能な限りご家族も一緒に受診してください。

④ 当院受診時、当院の担当医よりがん遺伝子パネル検査に関する説明があります。

⑤ 検体を検査に提出します(出検)。同日、検査費用の1回目の支払いがあります。

⑥ 出検から約2ヶ月後に、当院外来で担当医より検査結果をお伝えします。同日、検査 費用の2回目の支払いがあります。

⑦ 検査後の治療は、現在治療を担当している主治医の先生とご相談いただきます。

ご紹介いただく医療機関の方へ

がんゲノム医療外来へ患者さんをご紹介いただく場合、外来の流れや内容についてご理解いただいたうえで、 受診申し込みいただけますようお願い申し上げます。



①がん遺伝子パネル検査の適応について
保険診療のがん遺伝子パネル検査は、標準治療のない固形がん(原発不明癌、希少がん等)や、 標準治療が終了(もしくは終了見込み)となった固形がんの患者さんを対象に、 検査施行後に化学療法が適応となる可能性が高いと主治医が判断した場合に検査が行われます。 ご紹介いただいてから患者さんへ結果をお伝えするまでに約2か月かかりますので、 ご紹介の際には、結果説明まで体力の維持が可能かどうかもご判断ください。当院では、 ご紹介時のPS(Performance status)が0~1、予後が3ヶ月以上見込まれる方を対象と考えています。

②検体の確認
保険診療のがん遺伝子パネル検査では、組織検体を用いた検査(NCCオンコパネルかFoundationOne CDx)が優先され、 血液を用いた検査(FoundationOne Liquid CDxか、Guardant360 CDx)は、医学的理由で組織検体検査が困難な場合や組織検体を用いた検査で 検査結果が得られなかった場合に適応となります。まずは、 下表の「病理組織検体の品質」をなるべく満たす検体の準備をご検討ください。

(表) 病理組織検体の品質に関して
がん遺伝子パネル検査の成功は、病理組織検体(FFPEブロック : ホルマリン固定パラフィンブロック)の品質にかかっています。ゲノム解析用検体としての品質には、下記の要素が関わってきます。

品質に関わる要素 推奨
1. 検体採取から
ホルマリン固定までの時間
可及的すみやかに固定。冷蔵庫保管にて 1 時間以内(少なくとも3時間以内)に固定、常温で長時間放置は極力回避
2. ホルマリン固定時間 6-48 時間
3. ホルマリン濃度 10%中性緩衝ホルマリン(推奨 A)
15%中性緩衝ホルマリン(推奨 B)
4. FFPE ブロックの保管期間 作成後 3 年以内が目安
5. 腫瘍含有量 腫瘍含有量が多く(>50%推奨)、炎症、出血、壊死がなるべく少ない検体

日本病理学会「ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程」より


「診療予約FAX申込書」に加え、 「がんゲノム医療外来予約申込書(FAX用)」に必要事項を記載し、 医療連携センターへFAXしてください(予約専用FAX番号 : 0422-34-6550)。 当院の担当科と受診日が決定したら、当院担当者から主治医の先生へFAXで連絡いたします。

④ 当院外来受診日までに、下表の必要な書類や検体をご準備いただき患者さんにお渡しください。 また、患者さんへは指定された予約日時と受診する診療科をご案内ください。当院への外来受診は本人の受診を原則とし、 可能な限り家族も一緒に受診いただけますようお願いします。


(表)受診までにご準備いただくもの

□ 紹介状 現病歴、既往歴を記載してください。
□ 臨床情報 指定の様式に、必要事項を漏れなく記入してください。
□ 検査結果 血液検査、画像検査、など
□ 組織検体 (ある場合) 以下(1)〜(3)のすべてをご準備ください。(2)と(3)は貴施設の病理診断担当部門 に
「病理組織標本作製のご案内」をお渡しして準備をご依頼ください。
(1) 病理診断報告書
(2) 病理組織検体・・「病理組織標本作製のご案内」に従い作製してください
(3) 品質評価シート・・「病理組織標本作製のご案内」の3枚目です。

⑤ 当院担当医より、がん遺伝子パネル検査に関する説明を行い、検査の同意をいただきます。当院担当医が検査不適格と判断する場合があります。組織検体をご準備いただいた場合、当院の病理部で組織検体ががん遺伝子パネル検査に適しているか確認します。組織検体が不適格と判断された場合は、再生検による組織採取を貴院にお願いするか、血液を用いたがん遺伝子パネル検査へ変更するか、検討します。

⑥ 再度来院いただき検査のオーダーをします(出検)。血液検体が必要ながん遺伝子パネル検査では、血液採取を行います。当日、検査費用の1回目の支払いが必要になります。なお、入院中の患者さんでは出検できません。

⑦ 出検から結果説明までに約2ヶ月かかります。当院外来にて検査結果を説明し、がんゲノム医療外来は終了となります。当日、検査費用の2回目の支払いが必要になります。なお、入院中の患者さんには結果説明ができません。

⑧ ご紹介いただいた主治医の先生へ、診療情報提供書、検査結果等をお送りします。がん遺伝子パネル検査後の治療は、ご紹介いただいた主治医の先生のご判断となります。

⑨ 検査終了後も C-CAT(がんゲノム情報管理センター)に診療情報を登録するため、「エキスパートパネル開催後の薬物療法や転帰情報」のご提供をお願いいたします。当院からお問い合わせの際は、ご協力のほどお願い申し上げます。

資料集

診療予約FAX申込書 PDF版 , Excel版 (予約時に必要)
がんゲノム医療外来予約申込書(FAX用) (予約時に必要)
病理組織標本作製のご案内 (がん遺伝子パネル検査用病理組織の作製時に必要)
臨床情報(外来受診時に必要:紹介状に同封してください)

お問い合わせ先

診療内容に関するお問い合わせ

がん相談支援センター 

電話番号 0422-32-3111 内線 7558
受付時間 9時00分~17時00分

初診予約方法に関するお問い合わせ

医療連携センターFAX予約担当 

電話番号 0422-32-3111 内線 7520
受付時間 8時30分~17時00分
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